いつもお忙しい中、English-Please!への送り迎えや宿題、リーディングツリーのお手伝いなどをしていただきありがとうございます。

今日は時々保護者の方からお声をいただくことがある、お子さんの鏡文字についてお伝えします。
Phonics 1から読むためのレッスンが本格的に始まると、お子さんたちの頭の中ではどんなことが起こっているんでしょう?
語学の発達段階としては、まず聞こえるようになるのが最初です。そして、聞こえるようになったものを今度は自身で使って発信(話す)ことに移ります。その次が書いてるものを読めるようになり、最後に自身で書けるようになる。どの言語を学ぶにも、必ずこのステップが必要となります。

小学校低学年のお子さんは、P1,2,3ではまだステップの3番目、読むことを吸収している段階です。読むためには文字の違いを知る必要があり、そのために単語を書き始めるのがこのコースです。私たち大人は得てして忘れがちですが、その中で、幼い頃の成長段階で現れた鏡文字が起こることがあります。
小学校低学年、普段の生活で日本語での鏡文字が起こらないのに、dとbなどの区別がつかないことに驚かれる保護者様はとてもたくさんいらっしゃいます。
鏡文字の起こる原因がはっきりとわかっていないというところでもどかしいところはありますが、経験として、年齢による理解・処理能力も影響しているんじゃないかなと感じます。
全く経験なく、初めて英語を習う小学校低学年のお子さんの大多数が鏡文字を書きますが、同じ条件、初めての英語でも、小学校高学年になると鏡文字を書くお子さんの数はガクンと減ります。

ここで思い出していただきたいのは、お兄ちゃん、お姉ちゃんになって鏡文字なんて小さいこのすること!見たらわかるでしょ!と思われるかもしれませんが、毎週触れているとはいえ、英語はまだまだ彼らにとって外国語。
フォニックスを習って聴いた音に反応、聴いたことのある音を生み出すことができても、それは耳から得た情報で、読み書きの能力とは異なります。Do you like ice cream?にYes, I do!と自信を持って答えられるお子さんがcatやdogを読んだり書いたりするのに苦労しているところを見ると驚かれることもあるかもしれませんが、彼らはまさにEP!が意図した通りの成長の段階にいるので、心配しないでくださいね。

お母さんお父さんには当たり前のこと、見たら違いがはっきりわかる、は、お子さんにとってはまだ理解しがたい領域であるかもしれません。
小さいうちは耳がいいので、sの音とshの音を説明されなくても使い分けることが自然とできます。これって大人からしたらとても羨ましい能力ですよね。お子さんに「お母さんなんでそんなこともわからないの!?」と言われることもあるかもしれませんが、なんでかわからないけど聞き分けられないですよね。

ひとつお願いしたいことがあります。日々お子さんを見守る中、つい「なんでこんなこともわからないの?」と簡単に言ってしまいがちですが、ちょっと待ってください。
できないのは、やり方がまだわからないから。やり方がわからない理由は先に述べたように、まだ区別ができないなど成長段階でのこともあれば、本当にロジックを理解できていないからということまで色々です。が、どのような理由であれ、やり方がわからなくて(理解できなくて)できないお子さんに、「なんでわからないの?」は絶対に、絶対に言わないでください。なんでわからないかわかればまず、間違うこともないですし、そして、何度も言いますが、彼らは今まさに”やり方”を練習しているところです。

保護者様がお手伝いいただく中で、早い段階で鏡文字が修正されることもあるかもしれませんが、まずは何よりも気持ちの余裕を与えてあげてください。余裕ができてから、なんでできないのかを解き明かし、できるに変えてあげましょう。でも覚えていただきたいのは、Phonics 1,2,3でのターゲットは読めるようになることです。書く練習もたくさん行いますが、それは読む(文字の区別がつく)ための練習です。

鏡文字のお話に戻りますが、これは特別な場合を除き、時間とともに自然と解消されると言われています。どうしてももどかしいので手助けしたいと言う場合には、ペンマンシートのようななぞり練習や声で「右に丸く膨らんで、そのまま下に・・・」など指示しながら行う書き方の練習等は効果があるかもしれません。が、ないかもしれません。でも、そこで行なった書き方の練習は確実に、P1,2,3の読むための手助けになります。
鏡文字については本当に自然と、時間とお子さんの成長が解消してくれますので、あまりストレスに思わず過ごしてあげてください。

英語のレッスンは日常を豊かにするためのきっかけを掴みに行くようなものです。せっかく素敵な未来を思い描いて毎週たくさんの時間や努力を注いでも、お子さんのことを考えているからとはいえ、その過程を苦しいものにしてしまっては勿体無いですよね。一度視点を変えてみて、2度と戻ることのない成長の過程を楽しむのはいかがでしょう?
わからないのが普通、できたらすごいのスタンスを忘れず、たくさん褒めて伸ばしてあげてください。英語の先生からのコメントより何よりも、保護者様からの言葉が一番心に響くので、ご自身の声がお子さんの気持ちを制限してしまうことのないよう、大人の私たちが余裕を持って向き合ってあげましょう。